遥かなる深淵へ…

日々の出来事、コネタ、短編小説など書ければと

君に捧ぐレクイエム…

食事中、祖母との会話は一切なかった…だからといって特段気まずい訳でもなく、ただ淡々と二人とも食事をする…もっとも、そんな気兼ねのいらない祖母だったからこそ、私がこの家に三日も滞在出来たのも確かである…
五年前に祖父がなくなって以来、祖母はこの家にずっと1人で住んでいる…寂しくはないのだろうか…祖母との折り合いが悪い母は、ほとんど祖母の家を訪ねない…たまに父親が田舎の用事を引っかけて顔を出す程度だ…昔は親戚の従兄弟たちも集まって賑やかな家だった…叔母が使っていた二階の座敷の部屋がお気に入りで、歩く度に畳の下の床板が軋む、それが楽しくてよく跳びはねては怒られいた記憶がある…あれだけよく遊んだ従兄弟たちとも、今では全く顔を合わさなくなった…今頃どうしているのだろうか…
相変わらず、二人のそしゃく音だけが食卓に鳴り響く…大学のレポートも結局手付かず…気がつけば提出の締め切りも近づいている…そろそろおいとましなければ、明日、一番にここを発ち、まずは図書館で資料を…そんなレポートの構想を練っていると、唐突に【大学はどうじゃ?】祖母が話しかけてきた…